派遣社員のイジメは「派遣会社」が問題
派遣先の問題は派遣会社に責任があります。たしかに事務のように同じ業務に携わる人が多い現場では、内々でイジメが行われているところもありますが、派遣を依頼する会社の性質上「イジメ」をするほど暇ではありません。
私が実感しているイジメが多い職場というのは、
- 事務の女性正社員に「暇人」が多いこと
- 絶対数として女性が多い会社であること
- 事務社員も年収が高い会社であること
私が過去イジメを確認した業種としては事務が圧倒的に多いですね。逆にキーパンチャーやテレフォンオペレーターなど、派遣のみで構成されている仕事は必然的にイジメは少なくなります。
同様に秘書のような、自分1人で全ての業務を遂行していく仕事や、薬剤師・SEなどの専門職についてもイジメは少ない傾向にあります。
まず派遣会社・担当営業マンに相談すること
派遣社員を雇用しているのは派遣先ではなく派遣会社になります。職場で問題があった場合は、派遣先の上司ではなく派遣会社に相談してください。派遣社員が派遣先の上司に言うより、派遣会社の立場として言った方が派遣社員に角が立ちません。
業務外の相談相手、そして指揮命令者と派遣先責任者は役に立たない
派遣社員が派遣先で就業する際には派遣契約を結びます。その契約にかかる契約書には、自分の名前の他、指導・監督を手掛ける2名(指揮命令者・派遣先責任者)の名前が記載されます。しかしこの二人も形式上の上司であって、実際の仕事に関する悩みや相談、特にイジメなどのディープな話は相手にしてくれないケースがほとんどです。
- 指揮命令者
派遣先における直属の上司。何かあったら相談する相手。 - 派遣先責任者
その現場における一番の責任者。派遣先で仮に何かあなたが問題を起こしてしまったとき、代わりに責任を取ってくれる方です。もちろん、派遣先責任者でも手に負えない重大な問題を起こしてしまった時は、派遣会社が責任を取ることになります。ただ、仕事上のミスやトラブルは十分に起こり得ることなので、指導・監督者としての責任の範囲であなたを守ってくれます。
責任・監督・相談となる相手はいるにはいるものの、その内容によっては派遣会社を通した方がスムーズになることも覚えておきましょう。指揮命令者や派遣先責任者の考えとしては「イジメられるような人間、会社に馴染めていない、コミュニケーションの低い人間」と判断されてしまうこともあります。
そうなると契約の更新をしてくれなかったり、昇給が望めないなどのデメリットを生んでしまいます。「我慢しろ」というわけではありませんが、あなたがその職場で働き続けたい意思がある場合、最もリスク回避できる方法は「派遣会社を通して伝える」ということです。
部署異動して職場環境を変えることもできる
仕事は好きなのにその職場環境が自分に合わないときは、部署異動を依頼することもできます。
その場合は指揮命令者も代わり(派遣先責任者は代わらない)、再度契約書を作り直すことになります。そこで気になるポイントがあります。
- 有給の起算日
- 派遣の抵触日
「1」の有給については、雇用されてから半年後に付与されます。これは部署異動しても変わらず雇用は続きますので有給の付与日は変わりません。
「2」の派遣の抵触日については、部署異動すると変更することになります。抵触日の取り直し・更新ということになります。
2015年9月30日の派遣法改正により、部署単位から個人単位で抵触日を設けるようになりました。部署異動してもこれは適用されており、また新たに最高3年の抵触日が与えられます。
※「2」については、これを悪用して同じ会社で何年も働き続けさせる派遣業界の裏技でもあります。あまり推奨されるものではありません。
部署異動について詳しくは以下にまとめていますので参考にして下さい。
派遣会社の営業担当は定期的に訪問する必要がある
派遣社員と共に働くことのできない派遣会社の営業担当。少しでも変化にも気がつけるように、定期的に訪問して派遣社員と面談していく必要があります。ここに関しては、派遣先責任者や指揮命令者も時間をとって派遣社員を守っていく必要があります。
働いている派遣社員としても、それを求めるように声掛けしてみてください。それができない場合は思い切って仕事をやめる(更新しない)、派遣会社を変える、というのも一つの手です。営業担当は本当にピンキリですから、やってくれない人は何もやってくれません。
派遣・人材業界というのは正直のところ、就職が難しい、いわゆる高学歴でないと入れないようなところではありません。むしろ、派遣業界で働いている人というのは、自分を含めて3流・4流以下の大学出で、特別頭が良いわけでも融通が効くわけでもありません。
派遣社員がイジメを受けているように、派遣会社・人材業界の社員も社会的には蚊帳の外のような扱いを受けています。従って、名前の知らないような派遣会社や、事務所が裏路地や外れた地域にあるような派遣会社は登録しない方がいいです。できるだけ大手で、実績のある派遣会社から営業担当を付けてもらうようにしましょう。これはイジメを減らす・受けないための最も直接的な対策になります。
更新の有無は派遣社員が拒否できる
派遣社員の契約は2~3ヶ月で結ばれることが多いです。その後の更新については派遣先と派遣社員の双方合意の上で行うことができます。もし職場の改善が見られない場合や、派遣会社の営業マンの働きに満足いかない場合、更新を拒否することが可能です。
契約上「期間満了」として終了させる形になるので、職歴に傷が付いたり、今後派遣で働く上でマイナスになることは一切ありません。むしろ一つの経験・派遣としての職歴を重ねたことになるので、「経験者」として次の仕事を探す際はもうワンランク上の時給が高い同職種に応募することができます。
派遣社員には働きやすい仕事環境を
派遣社員を雇う派遣先としては、猫の手も借りたいと思うくらい人が不足しています。そんな救世主となる派遣社員に対して雑な扱いをするような派遣先は実態として非常に少ないことをまず覚えておいてください。
逆に、過度な期待をされすぎてイジメに発展することはあります。
「派遣なのに未経験ってどういうこと?」
「派遣社員に教育係を付けるって意味が分からない」
など不当に感じている方がいるのは確かかもしれません。しかし最初は誰でも未経験ですし、逆に経験さえ積んでしまえば、次はイジメではなく本当に受け入れられる形で働くことができるようになります。派遣社員でイジメを受けているのは圧倒的に「派遣初心者」であることが多く、派遣経験者でイジメを受けているというのは聞いたことがありません。
最初のうちは慣れなくて仕事が落ち着くまではストレスに感じてしまうことも多いかもしれませんが、慣れてしまえば派遣という立場を強く利用する人もいるくらいです。それこそが派遣社員が与えられた権利かもしれません。期間の定めのある派遣社員は社会として弱い立場にいるように思われがちですが、強くなれるときもあります。