通常の派遣において、事前の面接や個人の特定行為が禁止されています（労働者派遣法）。
ただ実態が異なる部分もあるので、記事ではその辺りも含めて職場見学や顔合わせの内容などを紹介していきます。
派遣の職場見学(顔合わせ)の内容や流れを紹介！
- 営業担当と打ち合わせ
- 簡単な自己紹介
※今までの派遣歴・職歴について言える範囲で説明 - 派遣先から業務の説明
- 実際に職場見学
- 簡単な質疑応答
一般的な職場見学や顔合わせの流れは、上記の通りです。
職場見学はあくまで派遣社員がその職場を知るためのツールですので、派遣先から派遣社員に対する質問・特定行為はありません。
営業担当と打ち合わせ
職場見学をする前に、まず派遣会社の営業担当と打ち合わせをします。
主な打ち合わせ内容は以下の通りです。
- 職場見学の内容
- 派遣先のがどんな会社か
- 派遣先にするべき質問
職場見学をスムーズに進めるための打ち合わせをすると考えておけば、概ね問題ありません。
もし気になることがあれば、この段階で伝えることで派遣先から回答をもらえることもあります。
簡単な自己紹介
職場見学当日に派遣先で担当者と会ったら、まずは簡単な自己紹介をします。
自己紹介はあくまでも派遣法に違法しない範囲で行われるので、名前や過去の学歴などの個人情報を話す必要はありません。
派遣先から業務の説明
職場見学で行われる内容として、派遣先から依頼する「仕事説明」について説明を受けます。
説明の内容は派遣先によって異なりますが、おおよそ以下のような説明を受けます。
- 業務内容
派遣後に依頼する仕事内容の説明を受けます。求人ではわからない具体的な内容を資料や実際に就業されている方を見て確認することができます。 - 必要となるスキル
パソコンの使用頻度や求められるスキル、主に取り扱っているソフトの説明などがあります。 - 1日・1ヶ月の流れ
派遣社員が就業後すぐに理解できるよう、1日や1ヶ月の流れについて説明があります。会社によっては出社時間は異なり、始業時間の何分前に朝礼が始まるなど具体的な流れについて説明を受けます。 - 残業の有無
求人では「残業なし」と記載されていても、実際の職場ではお願いされることがあります。大幅な求人とのズレはありませんが、終業時間ピッタリの時間に帰れるかどうかは会社によって異なります。場合によっては時間ギリギリまで働いてもらい、終業時間後に帰り支度をしてもらうこともあります。 - 職場環境や社風
会社の雰囲気や会社としての方向性について説明を受けます。職場をぐるっと回って、会社で働くイメージを掴んでもらったりします。 - その他業務に関わること
休日出勤の有無や部署内の規則など職場見学に行かないとわからないことはたくさんあります。会社行事の参加有無や細かいことについても質問しておきましょう。
もし受けた説明で不明点があれば、この職場見学の段階で忘れずに聞いておきましょう。
終業後に質問することもできますが、内容によってはどうして職場見学の時に聞かなかったんだ、と思われてしまいます。
実際に職場見学
説明が終わったら、いよいよ実際に派遣先がどのような職場なのか見学をします。
オフィスをぐるりと一周したり、自分が配属される部署を案内されたり、見学といっても様々なケースがあります。
ここで職場の雰囲気やどんな人間がいるのか、一通り確認しておきましょう。
見学中に気になることがあれば、質問をすれば教えてもらえるでしょう。
簡単な質疑応答
最後に簡単な質疑応答が行われます。
職場見学で疑問があればここで聞くことができますし、特には派遣先から質問をされることもあります。
派遣法で面接や特定行為に繋がる質疑応答は禁止されていますが、的外れな人が来ないように仕事に関する質問をされる覚悟はしておきましょう。
ただあくまで面談（お話）なので、面接のような質問は控えるよう派遣会社からもお願いしています。
紹介予定派遣は例外
なお、紹介予定派遣においては「直接雇用を前提」としているため事前面接や個人の特定行為は例外として認められています。
職場見学でも通常の派遣とはテイストが異なり、履歴書の提出も許されています。
派遣社員の特定行為は派遣法によって禁止されていますが、それがかえってお互いの派遣の促進を妨げているのではないか、ある程度の事前面接・質問は許されるべきではないかと派遣法の改正が求められています。派遣されれば遅かれ早かれお互いの情報を知ることになるため、派遣社員がそれを後出しにすることは、結果的にマッチング率・定着率を妨げることになります。まだ案の段階ですが、かなり前向きの方向で話が進められているため頭の片隅に置いておいて下さい。
派遣の職場見学や顔合わせで法律で禁止されている派遣先の行為
履歴書の提出
派遣社員の個人情報がわかってしまう履歴書の提出は法律で禁止されています。
ただ実態として、実質履歴書のようなスキルシートを提出したり、履歴書をこっそり渡すような悪質な派遣会社も存在します。
なお紹介予定派遣では履歴書の提出は認められています。
年齢を限定した募集
「20代限定」や「24歳～29歳の経験者」といった文言で募集をしたり、年齢を限定する採用は禁止です。
ただ実態として採用されるのは、その企業が求めている年齢層の派遣社員です。
そのため、年齢制限はせずとも「職場の平均年齢」や「20代の多い職場」といった文言で、他の年代を寄せつけないようにしている傾向があります。
適正検査・テスト
適正検査やテストの実施も面接と同じ内容と判断されます。
仮にテストを行ったとしても、その結果を理由に受け入れるかどうかを派遣先が判断してはいけません。
「顔採用」とは、派遣社員の容姿を見て採用の判断をすることです。もちろん禁止ですが、それを口に出さない以上派遣会社は抑制することはできませんし、実態として顔採用は往々にして行われています。特に、秘書や受付の派遣ではその傾向があります。
派遣の職場見学や顔合わせのおすすめ服装・身なり
髪はまとめる
髪が長い場合はしっかりまとめておきましょう。
ボサボサした髪型より、結んで清潔感を出しておく方が派遣先からも好印象です。
服装はスーツorオフィスカジュアル
派手な色は控え、ネイビーや黒の落ち着いたスーツにしましょう。
女性であればジャケット・スカートが好ましいです。
カジュアルな服装の会社でも、職場見学や初回の就業時は整えた服装で行きましょう。
ジーパンやショートパンツ、露出度の高いものは控えましょう。
筆記用具の入るバッグ
メモを取ることもあるので、筆記用具が入るぐらいのバッグを持参して行きましょう。
女性は派手すぎない化粧
女性は化粧をしていくべきですが、派手過ぎるメイクはNGです。
ナチュラルメイクにとどめて下さい。
派遣で職場見学や顔合わせをする目的や意味
本来は派遣社員の「希望」で見学する
本来の職場見学は、派遣社員の求めに応じて行うものです。
派遣先からお願いされて行うものではありません。
しかし最近は、派遣時における必須の項目となってしまっています。
仕事内容や環境の確認
職場見学は、派遣社員が職場の環境や仕事内容を確認するという目的もあります。
本来の決定権はあくまで派遣社員にあります。
派遣会社があなたを派遣可能か判断する
派遣法上は職場見学後の決定権は派遣社員にあるのですが、実際は派遣社員がその職場で働くことを望んだとしても、派遣会社が「GO」を出さないと派遣させることはできません。
以下の例が派遣しないと判断できる内容です。
- 派遣社員に派遣先の求める業務遂行能力がないことがわかった場合
派遣社員と派遣先とのやりとりを営業担当が見て、スキル面や仕事に対する理解について難しいと判断した場合。又は、残業の実態、コミュニケーション面で今後就業していくことが難しいと判断した場合。 - 派遣社員が派遣先で働くことを希望しない
職場環境や仕事内容を見て、派遣社員が自ら望まない場合は断ることができます。
なぜこんなことが行われるかというと、派遣会社があなたの雇用主（上司）だからです。
部下であるあなたの態度やスキルを見て、「ここで働かせることができない」と判断した場合は、どんなに派遣社員が望んだとしても働かせることはできません。
違法っぽいですが、これは派遣法違反にはなりません。
顔合わせや職場見学で派遣先からよくある質問
派遣先からあなたに質問される内容は主に次のようなことです。
学歴や経歴など個人情報に関する内容は派遣法違反になるため問われません（建前）。
今までの業務経験を教えて下さい
あなたのスキルを確認するための質問です。職歴や経歴ではなくあくまでスキルの確認です。
なお業務経験だけを聞いて採用・不採用を派遣先が判断することは禁止とされています。
どのような知識や資格がありますか
取得している資格や、今までの知識について質問されます。
人情報に触れない範囲で、あなたの技術力を問われます。
派遣の顔合わせや職場見学で禁止されているNGな質問
氏名・年齢・住所に関する質問
名前や住所といった個人情報に当たる質問は禁止です。
特に年齢に関しては派遣会社から厳しく注意しないといけません。
職場見学では名前を含めた個人情報の質問が禁止されています。しかし禁止されてはいるものの、相手も大切な時間を削って説明をしてくれているので、特に嫌でなければ自分から名前を名乗るよう気遣うと相手の印象は非常によくなります。「禁止事項」のもっと前にある社会人としての「マナー」は守るべきでしょう。
家族構成・世帯収入に関する質問
「子供がいる」「結婚している」といった質問に対して答える必要はありません。
しかし、派遣就業後は労務管理の適正な実施の観点から税金・社会保険など世帯収入の情報を収集されることもあります。
退職理由に関する質問
前職の退職理由なども答える必要はありません。
聞かれてもそれは禁止事項なので拒否できます。
学歴に関する質問
派遣社員は就職活動のように学歴フィルターがありません。
そのため、大学名や学歴についての質問は禁止されています。
派遣法第24条3項（個人情報）に定められている内容の質問
人種・民族・門地・本籍・その他差別的要因となるおそれのある事項、思想及び信条、労働組合への加入状況などは、派遣・紹介予定派遣などその形態に関わらず業務の目的の達成に不必要な内容なので質問してはいけません。
もし上記のような質問をしてくる派遣先は、後述していますが就業後に不利益を被る可能性が高いので派遣を断るのが無難でしょう。
顔合わせや職場見学で派遣会社にするべき7つの質問
本当の出勤時間
朝礼・朝の掃除・ラジオ体操などを日課にしている会社もあり、就業時間の30分前から席に着いていることもあります。
そういったリアルな出勤時間について聞いておきましょう。
普段の職場の雰囲気
自分で職場見学に行くこともできますが、会社によっては「派遣社員が来るから和気あいあいとしておこう」と待ち構えている場合もあります。
リアルな雰囲気や職場の実態は、長く付き合いのある派遣先であれば営業マンも定期訪問しているためよく知っているはずです。
前任者からの引き継ぎの有無
就業後どんな人に業務を教えてもらうのか、なぜ自分が派遣される必要があるのか（前任者の退職、育休や産休、異動など）、前任者が退職した場合は、特にその職場環境や業務の実態、退職理由が気になりますよね。
前任者が退職してしまった場合は「引き継ぎが無い」ということになります。
テレフォンオペレーターや軽作業など、そもそもマニュアル化された仕事であれば別ですが、誰かの穴埋めとして採用枠が「1名」の仕事であれば、特に注意が必要です。
派遣先の上司
営業担当は派遣求人を出す前に、あなたの上司となる派遣先に会っています。何度か会ううちに性格・見た目・口調などの特徴を捉えています。その特徴について聞いておき、職場見学までにイメージしておきましょう。派遣の離職理由で最も多いのが教育係・上司に当たる指揮命令者との「人間関係」です。
⑤派遣期間
長期の派遣でも期間の定めが一年未満の案件はたくさんあります。あなたが応募した派遣先は最長でいつまで派遣期間があるか確認しておきましょう。また派遣の業務内容が臨時的なものなのか、継続・反復的なものなのかも重要です。臨時的な仕事の派遣であれば、突発的な派遣切りであっても違法にならない可能性もあります。
⑥昇給の可能性
評価の方法や、派遣社員に対する還元の体制について質問しましょう。特に1年以上就業する場合は、年度毎の昇給のチャンスがあります。
⑦仕事内容
業務量や1日のスケジュール、扱っている商品・サービスなど具体的な内容を聞きましょう。
派遣の職場見学や顔合わせにおける注意点
派遣法を無視して面接や質問する派遣先も多い
以上までが、「建前」の部分ですので基本的な職場見学の内容については説明を終えました。ここからは「職場見学・顔合わせの実態」について解説していきます。
最近では派遣法によって禁止事項となっている内容にもかかわらず、専門知識が派遣社員に無いことを利用して面接に近いことを行う場面が多く見られます。
派遣社員としてもそれを断ることで「派遣先に悪い印象が残ってしまう」「採用されたい」と思って拒否することが中々難しいようです。
違法行為があっても派遣会社は守ってくれないことがある
こうした違法行為に備えて派遣会社の営業マンが帯同しているのですが、実態としては三者間で派遣先が最も上の立場となるため（暗黙に）、守られにくい印象があります。
職場見学における質問や面接の禁止は法律的にも曖昧で、グレーの通り道をわざと用意しているようにも思えます。
違法行為があれば派遣会社に伝える
もし禁止事項に触れるような質問をされた場合、とりあってもらえるかはともかく派遣会社に言ってみることも必要です。
「そんなものなので諦めて下さい」と言われるかもしれませんが、違法行為は違法行為です。
違法行為を見逃すような派遣会社は、今後の業務でサービス残業やパワハラがあっても、同様に「諦めて下さい」「少し我慢して下さい」と言ってくるでしょう、
違法行為を黙って我慢するような都合の良い派遣社員なら尚更なので、違法行為があれば対応してもらえるかはともかく必ず伝えて下さい。
本来は派遣先が派遣社員を選考する場ではない
本来は職場見学を通じて、「派遣先が」派遣社員を受け入れるか判断をする場ではありません。
「派遣社員が」派遣先を見て、ここで働きたいか判断をする場です。
だからこそ面接行為や特定行為は禁止されています。
参考：日本人材派遣協会
しかし実態は、職場見学を採用の場として活用し、禁止事項でも平気で質問してくる派遣先もあります。
NGな質問や面接をする派遣先はできれば就業しない
派遣法を無視する派遣先も派遣会社も、就業すれば碌な未来が待っていない可能性が高いです。
禁止行為だと知って聞いてくるような企業で働けば、必ず契約と違う業務をさせられたり、サビ残を我慢させるなど別の違法行為が発生します。
時には不当に契約を切られたりと、あなただけが今後損をするリスクを背負うことになりますので、快適に働きたければ個人情報を守りながら別の派遣会社、派遣先を見つけることを目指して行きましょう。
派遣会社の事業所はコンビニより多い8万社もあるので、実はいくらでも新しい派遣会社を見つけることができます。
スタート地点である職場見学や顔合わせで違法行為をするような派遣会社は、悪いことは言いませんのでやめて他の派遣会社を利用しましょう。
派遣社員は引く手あまたの売り手市場なので、もっと強気で臨みましょう。
おすすめの派遣会社！スタッフサービス オー人事net
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| 求人数 | ★★★★★★ |
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派遣で工場見学をするメリット
工場で派遣社員として働く場合、事前に職場見学ならぬ工場見学をするよう提案されます。
そこで派遣社員が工場見学をするメリットについても紹介していきます。
- 事前に職場環境を確認できる
- 求人で見るだけより仕事内容が理解できる
派遣で工場見学をするメリットは上記の通りです。
事前に職場環境を確認できる
工場は古い建物が多いので空調設備が整っていなかったり、空気が悪かったりします。
働いてから空調設備が整っていないことに気づくと夏は灼熱地獄、冬は寒さに震えることになり非常につらいです。
求人で見るだけより仕事内容が理解できる
また、求人で「簡単な組立作業」と書いていても、実際に働くとイメージと実際の作業が全く異なることも珍しくありません。
しかし先に工場見学を済ませていれば、導入している機械や実際の作業工程を確認できるので、就業後のミスマッチ回避に繋がるでしょう。
派遣の工場見学におすすめの服装
工場と言えど、服装規定がなくても基本的には見学時はスーツがおすすめです。
私服でもOKな場合もありますが、センスによってはマイナス評価になる私服と違い、少なくともスーツを着てきてマイナス評価を受けることはないです。
私服OKと記載されている場合は私服で問題ありませんが、清潔感のあるオフィスカジュアルに近いコーデで行ったほうが無難でしょう。
派遣の職場見学や顔合わせの内容や質問まとめ
今回は派遣の職場見学や顔合わせの内容や注意点、よくある質問などを紹介しました。
職場見学は本来は派遣社員が派遣会社にお願いする行為なのですが、実態としてはほぼ全ての派遣先が面接も兼ねて実施しています。
ただこの職場見学で明らかに違法となる質問や、特定行為がある場合は注意が必要です。
最初に違法行為をする派遣先、派遣会社は後々も絶対に違法行為をしますので、就業前に断って別な派遣会社に登録することをおすすめします。
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