派遣社員でも有給はもらえる!条件と休暇の取り方
有給休暇は労働基準法によって定められた「労働者の権利」です。この権利の対象は正社員・契約社員・派遣社員などその雇用形態に違いはなく、誰でも取得することができます。取得するためには、以下2つの条件を満たす必要があります。
- 同一の派遣会社で6ヶ月以上継続して勤務していること
- 労働日の8割以上出勤していること
この条件を満たしていれば、派遣された日から6ヶ月を経った後に派遣会社からあなたに10日間の有給休暇が付与されます。有給が付与される具体的な日数については以下の表を参考にして下さい。
週間労働日数 | 派遣期間 | 6ヶ月 | 1年半 | 2年半 | 3年半 | 4年半 | 5年半 | 6年半 |
5日 | 有給付与 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
4日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 | |
3日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 | |
2日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 | |
1日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
上表は月~金曜日まで働く正社員だけなく、シフト勤務で働く週2~3日の派遣社員、もちろんアルバイトの方も該当し、有給休暇は誰でも取得できます。
取得実態についてもこのように「取りやすい」と答えた方が半数以上。「取れるはずだが取ったことがない」と答えた9%の方は、契約の兼ね合いで取得できなかった方。「取りにくかった」と答えた方もいますが、このデータからとりわけ「派遣社員だから有休が取りにくい」ということは無いように思います。
1年間の最大は20日・1度にキープできる日数は40日
「有給休暇は無くなる前に使いなさい」とよく事務の方などが話していますが、それは有給休暇は毎年付与されますが2年経つと消えてしまうからです。有給休暇は発生してから2年しか有効ではありません。貯めることはできますが、その有給が「いつ発生したのか?」を覚えておきましょう。
また、有給休暇が付与される最大日数は20日。よって、最大限有給を貯めたとしても、7年半後には前年度分と足して40日となります。派遣社員でも派遣会社を変えなければ有給の持ち越しが可能になります。
有給休暇を消滅させない方法
期間の決まった派遣社員にとって有給が増えていくことは想像できないかもしれませんが、以下の条件が揃うと職場を変えても有給を持ち越すことが可能です。
同じ派遣会社から仕事を紹介してもらう
もし、あなたが派遣社員として働いていて6ヶ月以上働き有給休暇を10日間も取得できたとします。取得後に有給休暇を使うことなく派遣期間が終了しても派遣会社内ではあなたの有給は残っています。従って、また同じ派遣会社から仕事を紹介してもらうと次の派遣先では勤務した瞬間から10日間の有給休暇を取得した状態で勤務できます。
しかし、他の派遣会社で仕事を紹介してもらい仕事を始めてしまうと、前の派遣会社での有給は消滅し、有給がない状態で就業がスタートします。待機期間を少なくするために派遣会社を複数登録している方も多いと思いますが、有給を消滅させないためにはできるだけ一つの派遣会社に絞って働き続けるほうが効率的です。
同じ派遣会社でも1ヶ月以内に新しい仕事をスタートする
新しい職場が見つかりスタートするまでの期間が、以前の派遣先を終了してから一ヶ月空いてしまっても有給は消滅してしまいます。特にこういったことがないように有給に関しては営業担当の方と相談しながら次の派遣先をすぐに見つけて下さい。先ほどの条件を満たすことができてもこの条件をクリアすることが現実的に難しいようです。
先程から何度か解説していますが、有給休暇は派遣社員としての「当然の権利」です。その他、育休・産休・介護休暇・生理休暇も同様です。これを「福利厚生」として堂々とPRしている派遣会社は、教育制度や資格講座、各種割引、育児支援等の「本当の福利厚生」が何も無いということになります。福利厚生を重視している派遣会社の選び方は、そうした視点で行うようにしましょう。
有給休暇の取り方
有給休暇を取得したい場合、それを派遣先の上司に言っても意味がありません。とても基本的なことですが、あなたを雇用しているのは派遣会社であって、派遣先ではありません。従って、あなた自身の営業担当に「有給を取得したい」旨伝えて下さい。
有給を取りたい日の1ヶ月以上前までに相談
急な休みについては有給として使うことができない可能性があります。有給休暇を取りたいと思ったら、1ヶ月以上前に派遣会社の営業担当に話すようにしましょう。営業担当から派遣先に相談して許可をもらうことが基本です。
派遣先の長期休暇に合わせるのがマナー
企業が派遣社員を使いたいと思う理由は「人手不足」だからです。従って、あなた主導で休みをガシガシ取得してしまうと、派遣先の印象は決して良いものではありません。もちろん法律上は派遣社員に与えられた正当な権利ではあるものの、どうしても契約ありきの派遣社員にとって、派遣先のご機嫌伺いというのは切っても切り離せません。
急に休みを取らなければならないことがあっても、派遣先の夏休み期間など大型の休暇に合わせる配慮というのは必要でしょう。
自分の都合を加味できないのはデメリットではありますが、ただ有給を取得するにも派遣先からすると印象がとてもいいので個人的に派遣社員のみなさんにおすすめしています。特別に用事がない場合は、派遣先の休みに合わせて有給を取得するようにしましょう。
有給休暇を効率的に活用する
私が以前担当していた派遣社員の話になります。派遣に慣れている方で、有給の使い方が上手でした。
使い方としては、派遣期間が終了することがわかると、残っている有給を派遣期間が終了する2週間前に一気に使い、同じ派遣会社で新しい派遣先を見つけてしまうのです。1ヶ月の間に派遣先が決まれば継続勤務の対象となり、さらにそこから1年後に11日の有給が発生するという使い方でした。これは、派遣会社泣かしに近い手法です。しかし、契約が終了することは派遣先も分かっているため、派遣先に迷惑がかからず、次回も就業の意思があることが分かるので3者間でメリットが大きい使い方なのです。
有給休暇の使い方は人それぞれですし、派遣社員に与えられた権利ですから個人的には満足行く使い方をしてもらいたいと思っています。派遣社員として自分に合った有意義な使い方で派遣社員ライフを楽しんでもらいたいと思います。