正社員が育休・産休中に派遣社員として単発で働く場合
「働かざる者食うべからず」という言葉があるように、日本の雇用制度ではノーワーク・ノーペイが労働基準法における大原則です。従って、育児休業中の給与の支給は原則ありません。雇用保険に加入していることでハローワークから育児休業給付金を受け取ることができますが、それでは生活ができないという方も多いのではないでしょうか。
育児休業給付金は支給開始6ヶ月は賃金月額の67%支給されますが、それ以降は50%までと一気に下がってしまいます。確かに育児休業中は社会保険料が免除されますが、手取り額が大幅に下がってしまうため、育児休業中でも働きたいと考える方も多いと言います。
育児休業給付金を受け取りながら働く方法
2014年10月の法改正により支給条件や給与額が一定額になっているのであれば、育児休業給付金の支給を受けながら就業することが可能になりました。その条件を満たし育児休業中でも働くことができれば、育児休業前の賃金月額の80%まで給与を上げることができます。
育児休業給付金の支給条件
- 育児休業の開始から終了まで雇用保険の被保険者であること
- 育児休業開始前の月額賃金より80%以上の賃金が支払われていないこと
- 1ヶ月の就業日数が10日以下もしくは10日以上であっても就業時間が80時間以下であること
この条件をどれも満たしていると育児休業給付金がハローワークから支給されます。ただ支給されてもその金額は働いて得た賃金によって左右されます。
働きながら支給される育児休業給付金の額
育児休業給付金の支給時期 | 給与額 | 育児休業給付金の額 |
開始6ヶ月以内 | 賃金月額の13%以下 | 賃金月額の67%(上限)相当額 |
賃金月額の13%以上80%未満 | 賃金月額の80%(上限)相当額から給与額の差額 | |
6ヶ月以降 | 賃金月額の30%以下 | 賃金月額の50%(上限)相当額 |
賃金月額の30%以上80%未満 | 賃金月額の80%(上限)相当額から給与額の差額 | |
賃金月額の80%以上 | 支給なし |
賃金月額は育児休業開始前6ヶ月間の月収を180日で割った金額に30日(月の日数)を乗じた金額です。育児休業中に関しては、給与額と育児休業給付金額を足して賃金月額の80%までになるように支給額を調整されます。そのため給与額を抑えながら、育児休業給付金を上限まで貰うように自分で考えながら働きましょう。
育休・産休中に派遣社員として働く際の注意点
年末の確定申告は自分で行う
育児休業中に派遣社員として働くと、扱いは「副業」となるため確定申告は自分で行います。
中途半端に働くと損をする
税金との兼ね合いや扶養など、損益分岐点を確認して働くようにしましょう。また育児休業給付金の支給額を計算し、上限まで貰えるようにプランしないとかえって損をすることがあります。受け取る金額が仮に多くなったとしても、時給に計算すると悲惨なことになっているケースもままあります。本当に働く必要があるのかも十分考えて実行して下さい。
産後6週間は働くことができない
労働基準法上、産後6週間については母体の安全を考慮し、いかなる理由があろうとも就業することはできません。また就業先もそれを受け入れたり、強要することはできません。
自分が働ける・働きたいと思っていても、それは周囲に対しても心配をかけてしまうため、実はあなただけの問題ではないのです。
副業を禁止する会社もある
育児休業中に働くことは法律では認められているものの、会社の就業規則で禁止されている場合があります。就業規則は必ず確認して下さい。
育児休業後に正社員から派遣社員になる方も多い
あくまで一般的な例として、育児休業を終えてから働きづらくなる職場も少なくありません。福利厚生で「産休・育休制度」を設けている会社でも、実際は1年もブランクがあってから復帰することは簡単なことではありません。
また子供がいるとプライベートの時間がより大切になり、正社員ではライフワークバランスが取りづらくなっていきます。派遣社員の多くはそういった育児休業後に職場復帰できなかった方のために、「短時間勤務」「残業なし」といった求人も多く扱っています。そのため育児休業後を機に派遣社員になる方も多いのです。
また派遣社員であれば、職場復帰するためにスキルアップしながら、後に紹介予定派遣で正社員になることも可能です。育児休業中に働き方を見直して、派遣社員としての道があることも視野に入れておいても良いでしょう。